調査結果の報告は、受け取り方(文書か、メールか、写真の提供があるか)だけでなく、どこに届くのか、誰が受け取るのか、誰と共有するのかによっても、思わぬ行き違いが起こり得ます。この記事では、受け取りの形式ではなく「共有の範囲」に絞って、契約時に決めておきたい送付先・連絡先と、共有前に確認したい点を整理します。
共有範囲を考える前に押さえたい秘密保持の考え方
警察庁の「探偵業について」では、探偵業者の業務に従事する者は、業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならないと説明されています。解釈運用基準では、秘密を明らかにすることに「正当な理由」がある場合の例として、法令上通報・報告する義務がある場合、訴訟手続で証人として証言しなければならない場合、依頼者本人が承諾した場合などが挙げられています。
依頼者以外の人に事業者から直接連絡や報告をしてもらいたい場合、事業者がどのような手続で依頼者の意思を確認するのかを聞いておくとよいでしょう。
報告の送付先と連絡先を契約時に決める
報告の方法は、契約後の書面に記載する事項とされています。そのうえで、実際の送付先や連絡先を具体的に決めておくと安心です。たとえば次の点です。
- 報告書や連絡を受け取る人(依頼者本人のみか、ほかにいるか)
- 送付先の住所やメールアドレス、連絡してよい電話番号と時間帯
- 連絡してほしくない手段や時間帯
- 送付先や連絡先を途中で変更したい場合の手続
自宅や職場など、ほかの人の目に触れる可能性がある場所を送付先にするかどうかは、依頼者自身で検討したい点です。
依頼者以外と共有するときに確認したいこと
調査結果を家族や相談相手などと共有したいと考えることもあるでしょう。ただし、契約前に依頼者が交付する書面では、調査結果を犯罪行為、違法な差別的取扱いその他の違法な行為のために用いないことを示すことになっています。共有によって結果がどのように使われるのかも、共有する前に考えておきたい点です。
共有してよいかどうかの法律上の判断はこの記事では行いません。共有を考えている場合は、共有先、共有の目的、共有するもの(報告書全体か一部か、写真や動画を含むか)を整理したうえで、事業者に確認してみましょう。
事業者の内部や委託先で、結果に触れる人の範囲
共有の範囲は、依頼者側だけでなく事業者側にもあります。解釈運用基準では、資料の不正・不当な利用を防ぐ措置の例として、資料を扱える人の範囲が挙げられています。また、他の探偵業者に委託する場合は、依頼者の氏名等を通知するか否かなどを契約前の書面で明らかにすることとされています。調査結果に誰が触れる可能性があるのかも、あわせて確認しておきましょう。
確認表①送付先・連絡先の決定シート
| 項目 | 決めた内容 | 事業者に伝えた日 |
|---|---|---|
| 報告を受け取る人 | ||
| 送付先(住所・メールアドレス等) | ||
| 連絡してよい電話番号・時間帯 | ||
| 連絡してほしくない手段・時間帯 | ||
| 送付先・連絡先の変更手続 |
確認表②共有先の整理シート
| 共有先 | 自分との関係 | 共有の目的 | 共有するもの | 共有の方法 | 事業者への確認 |
|---|---|---|---|---|---|
確認表③事業者への質問
| 質問 | 回答メモ | 書面の記載箇所 |
|---|---|---|
| 依頼者以外に連絡・報告する場合、意思をどう確認するか | ||
| 送付先・連絡先の変更はどう伝えればよいか | ||
| 事業者内で調査結果を扱える人の範囲 | ||
| 委託先がある場合、結果や依頼者の情報はどこまで伝わるか | ||
| 共有を考えている相手について、確認が必要な点はあるか |
調査結果の共有は、受け取り方の形式とは別に、送付先・連絡先・共有範囲を決めておくことで行き違いを防ぎやすくなります。秘密保持の考え方と、違法な行為に用いない旨の書面の趣旨を踏まえ、共有先や目的を整理したうえで事業者に確認しましょう。
確認した公式情報
確認日:2026年10月30日
警察庁「探偵業について」/解釈運用基準 第7 書面の交付を受ける義務、第8 重要事項の説明等、第10 秘密の保持等
