相談の場で「今日決めれば」と言われると、急いで決めなければいけないような気持ちになるかもしれません。けれども、契約前には書面で説明を受けることになっており、その内容を落ち着いて読む時間をとることは大切です。この記事では、警察庁の資料をもとに、持ち帰って確認したい書面と、比較するときの観点、質問の例を整理します。
契約前の書面は、持ち帰って読む前提で受け取る
探偵業者は、契約を締結しようとするときに、あらかじめ契約の重要事項について書面を交付して説明しなければならないとされています。解釈運用基準では、この書面は契約書、調査の計画書、パンフレットなど複数の書面でもよいとされています。
説明を受けたら、どの書類が説明のための書類なのかを確認し、持ち帰って読みたいことを伝えてみましょう。持ち帰ることができるかどうか、検討中に質問できる窓口がどこかも、あわせて確認しておくと安心です。
比較するときの観点
複数の事業者の書面を比べるときは、解釈運用基準で契約前の書面に明らかにすべきとされている項目が参考になります。特に次の点は、事業者ごとに書き方が異なる可能性があるため、並べて見ると違いが分かりやすくなります。
- 金銭の概算額:一般的な料金体系、掛かり得る最大限の総額、その算出の基礎となる個別の料金設定
- 契約の解除に関する事項:解除できる事由と違約金
- 探偵業務の委託に関する事項:委託の有無、委託先、依頼者の氏名等の通知の有無
- 資料の処分に関する事項:処分の有無、時期、方法
- 提供できる探偵業務の内容:調査方法、体制、地域の範囲、通常見込まれる時間、報告の方法
事業者の届出状況を確認する方法
解釈運用基準では、届出をした探偵業者は、届出をしたことを示す標識を営業所の見やすい場所に掲示するとともに、自社のウェブサイトに掲載しなければならないとされています。ただし、常時使用する従業者が5人以下の場合や、管理するウェブサイトがない場合は、ウェブサイトへの掲載義務が免除されるとされています。
また警察庁の「探偵業について」では、一定の行政処分を受けた探偵業者について、各都道府県警察または各都道府県公安委員会のホームページで、処分の日から3年間公表していると説明されています。比較の際の確認材料の一つとして活用できます。
クーリングオフなどは取引形態ごとに確認する
今回参照した警察庁の2つの資料には、クーリングオフに関する記載はありません。契約後に解約できるかどうか、どのような条件になるかは、契約の場所や方法などの取引形態によって扱いが異なり得るため、この記事では結論を示しません。契約前に、事業者に対して「この契約の形態でクーリングオフの対象になるか」「対象にならない場合、解除の条件は書面のどこにあるか」を質問し、回答を書面で確認するようにしましょう。判断に迷う場合は、消費生活の相談窓口などに相談することも考えられます。
確認表持ち帰り比較シート
| 比較項目 | 事業者A | 事業者B | 気になった点・質問 |
|---|---|---|---|
| 受け取った書類の名前 | |||
| 書面を持ち帰れたか | |||
| 検討中の問い合わせ窓口 | |||
| 最大限の総額 | |||
| 個別の料金設定の記載箇所 | |||
| 解除できる事由・違約金 | |||
| クーリングオフの対象かどうか(事業者の回答) | |||
| 委託の有無・内容 | |||
| 資料の処分の扱い | |||
| 調査方法・体制・地域の範囲 | |||
| 報告の方法 | |||
| 標識の掲示・ウェブ掲載の確認 | |||
| 行政処分の公表の確認 |
契約前の書面は、その場で決めるためではなく、内容を理解して判断するためのものです。書面を持ち帰り、金額・解除・委託・資料の扱いなどを事業者ごとに並べて比較しましょう。クーリングオフの可否は取引形態によって扱いが異なり得るため、事業者に確認し、回答を書面で残しておくことが大切です。
確認した公式情報
確認日:2026年10月30日
警察庁「探偵業について」(重要事項の説明義務等、行政処分の公表)/解釈運用基準 第8 重要事項の説明等、第12 名簿の備付け等
